地図へとびます…………………………………………………………………01/6/5
 

 小説、映画の舞台として、あるいは「莫高の町」として日本人にも親しみのある町、敦煌の人口はおよそ16万人(最新の第4回人口調査による)。うち農村人口は10万人を占めるという。敦煌は観光都市であると同時に農業都市でもあるのだ。
  通訳氏が小学生時代をすごした敦煌近郊の農家に赴き、農業で生計を立てる家族の話を聞いた。

Dunhang

1-1
玄関前で

●夫 =任 生元 Ren Shengyuan
   46歳 農業
   農閑期には土木作業員に
●妻=田 桂花 Tian Guihua
   46歳 農業

家 事 夫は「家にいるときは、ときどき家事(たきぎ集めなど)を手伝うよ」と言うが、妻は「夫の家事には、ときたま不満を感じるのよね」とこぼす。
家事全般は妻の担当のようだ。
食 事 日に3回(7時、12時、19時ころ)「昼食をいちばんしっかり食べるね。そうだな、麺料理を中心に3品くらいかな」と夫。
取材時、その昼食をごちそうになったが、町の食堂と違い、マイルドな味付けで新鮮な野菜を調理してあり、食べやすくおいしかった。
結婚まで 二人とも敦煌生まれの敦煌育ち。若いころ、同じ集団農場で働いていたときに知り合い、交際を重ね26年前(1975年)に結婚した。
任さんは「妻の勤勉で家事が得意なところ」に、田さんは「真面目で優しく、性格がよい点」にひかれたという。
 家は日干し煉瓦造りの平屋建て3K。任さんの生家を増改築して、今に至る。結婚後も実父(実母は早くに他界)とずっと同居し続けている任さんは、「特に別 居したいと思ったことはないな。父とはずっと同居したいと思っているし。親は大切にしなきゃ」。
 実父は、このとき2か月ほど兄弟夫婦の家に遊びに出かけており不在だった。
収 入 綿花の売り上げ(一毛作)がメインの収入。家畜(羊やニワトリ)などは自家用で、収入はわずか。
夫のレンさんは、農閑期には土木作業員の仕事に行く。

ライン

 

☆☆  父(任 生元 Ren Shengyuan)  ☆☆

1 今いちばん欲しいものは?
 お金だよ。
 子どもが二人ともひとり暮らしをしながら大学に通っているので、学費と生活費がかかる。お金があれば、二人の生活費にしたいね。
 娘は家庭教師、息子は新聞の売り子のアルバイトをしているんだが、足りないので生活費として毎月400元仕送りしている。学費や寮費に3000元払うと、1年でひとり8000元、二人で16000元もかかるんだ。
 でも、私たち夫婦の収入は1年で12000元しかない。だから、足りない分は、預金をおろしたり、親類から借金したりして送金しているんだ。
 去年は綿花の引き取り価格がよかったから、収入もよかったが、今年はどうかなー。

2 最近いちばん嬉しかったことは?
 下の娘の海燕が大学に受かったとき。嬉しかったね。

3 子どもにはどんな仕事についてほしいですか?
 海龍(息子)は法律を専攻しているから、理想をいえば弁護士になってほしい。本人は「広東や北京、上海などの都会で仕事につきたい」と言っているから、この町には戻ってこないんだろう。
 実際、敦煌は小さな町だから、仕事につけるチャンスも少ないだろうし……。
 でも、中国の弁護士資格試験はとても難しいんだ。だから、もし、試験に合格できなかったら、敦煌の市役所や(近くの町の)裁判所に勤める公務員になってほしいね。
 海燕は女の子だから、教師が適当な仕事だと思うんだ。

4 子どもと口げんかすることはありますか?
 子どものころから口げんかはあまりないけど、子どもの将来はいつも心配している。
 中国はいい大学に入らなかったらいい会社に入れないし、よい仕事につけなければ、今の私たちの努力が無駄 になってしまうから。
 ただ、畑仕事を「陽射しが強いから、いやだ」というのはどうにかしてほしい(笑)。

6 もし10万元あったら、どう使いますか?(当時、1元=約15円)
 それだけあったら、今は全部子どもたちのために使いたいね。
 息子には敦煌に家を買ってあげて、嫁をもらいたいね(任さんによると「敦煌では10万元あれば20〜30坪の家が立つ」という)。
 娘には、将来よい恋人ができて結婚する段になったら、家具などを買ってあげたいよ。
 中国の親は、子どもが就職、結婚したあとに、自分のことを考えるものなんだ。それまでは、自分の(暮らしの)ことなど考えないんですよ。

7 5年後はどこで何をしていますか?
 子どもたちは、都会で仕事が安定し結婚しているでしょう。
 私たち夫婦は、やはりここで生活しているよ。農村の暮らしはまあまあだし、畑仕事が好きだから。私は5年後に51歳。自分の畑を耕して、自分を養います。
 父(75歳)が亡くなったら、きちんとお葬式を出してあげたい。

8 行ってみたい外国は? 日本にはどんな印象がありますか?
 (苦笑いしながら)行きたい国はあるよ。ただ、今はそういう機会や条件がないけどね……。
 将来お金ができたら、(敦煌と)友好交流関係がある日本の大分県臼杵市、(敦煌のある)甘粛省と友好交流関係がある秋田県には行ってみたいよ。
 シンガポールやタイ、マレーシアなど中国のまわりの国にも行ってみたいね。

 

ライン

☆☆  妻(田 桂花 Tian Guihua) ☆☆

1 今いちばん欲しいものは?
 夫と同じよ。

2 最近いちばん嬉しかったことは?
 やっぱり、同じね(笑)

3 子どもにはどんな仕事についてほしいですか?
 大学で勉強した専門をいかした仕事についてくれればいいわ。具体的には夫と同じよ。
 でも、娘の海燕には、できたら敦煌に戻ってきてほしいの。夫はどちらでもいいなんて、強がっているけれどね(微笑)。

4 子どもと口げんかすることはありますか?
 ひどい口げんかはないわ。
 あるとしたら、小さなことよ。例えば掃除や家畜のめんどう、畑仕事を嫌がるときに、ちょっとぶつかるの。

6 もし10万元あったら、どう使いますか?(当時、1元=約15円)
 そんな大金、見たこともないわ!
 でも、もしあったら、子どもたちのために使いたい。子どもを大学に通わせるのは、家計にとって大きな負担だし、将来の勤め先をさがすのも大変なのよ。

7 5年後はどこで何をしていますか?
 50歳になっているでしょ。
 農業を続けていたいわ。農業が好きだもの。

8 行ってみたい外国は? 日本にはどんな印象がありますか?
 (笑いなながら)外国には行きたいけれど、いまはお金がないわ。

 

 

「子どもたちに送るから」とたくさん撮りました。







裏庭兼羊小屋?

 

 
  

 

  

2003年06月08日 更新

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