地図へとびます……………………………00/6/16(ウルムチ近郊)
Tianchi

 聖山・ボゴタ峰を遠景に"中国のスイス"ともいわれる天池の湖。そのほとりに広がるカザフの観光村に2人は暮らしていた。
 通訳には「結婚したての若夫婦に話を聞きたい」とリクエストしたのだが、現れた二人はすでに結婚5年目。だが、いまだ新婚の熱々ぶりを見せつけてくれた2人に、通 訳を責める気持ちはなくなっていった。
 ふたりは街の暮らしを捨て、年に数ヶ月しか子どもに会えない山の暮らしをあえて選んだという。その理由は? 

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ゲル(移動式テント)の中で

●父 写真右 =木合(並)提 Muheyati 
        28歳  夏は観光サービス業
        冬は牧畜業
●母 写真左 =古孜那西 Guzinaxi 
        25歳 夏は観光サービス業
        冬は主婦業
●娘 写真ナシ=瓦(朋)娜西 Walinaxi
        3歳  幼稚園
 昌吉市[車でおよそ5時間]に 住む夫の
 両親のもとに預けられている。

家 事 家事全般 は妻の仕事。夫も妻が疲れているときなどに家事を手伝うが、料理は苦手とのこと。 夫の家での主な仕事は、放牧や家畜や世話など。
食 事
一日3回(8時、13〜15時ころ、20時ころ)。料理は夏も冬も以下の通 り。
 朝食=簡単なもの。ミルク茶とナン(パン)、ボルザックなど。
 昼食=他の民族とちがい、米料理(ポロ<羊の骨付き肉入りチャーハン肉>
      など)を食べながらおかず1品。若い人は辛くするのが好き。
 夕食=昼食と同じものを。冬の夕食には、必ず肉を入れる。

結婚まで

その後

暮らし

1995年、ふたりは昌吉市にある羊毛工場の同僚として知り合った。交際のきっかけは、ムヘヤティの一目惚れ。

「足の爪先から頭のてっぺんまで、ほんとにひと目で惚れました。(彼女のことなら)身体のどんな部分でも、どんな仕草でも好きになったんです」とてらいなく熱くオーバーアクションで語る夫に対し、妻のグージナシは「じょうずではないけれど、音楽が好きな点に惹かれたの。それに、優しくておとなしいところも……」。

結婚式は?と尋ねると、「もちろん覚えてます。1996年11月16日、晴れた土曜の日に結婚したんだ!」と当日の天気まで誇らしげに聞かせてくれたのには、こちらが赤面 してしまった。

翌97年5月、ふたりは、グージナシの故郷である当地(天池)にやってきた。理由は「自分たちの自由がきく暮らしをするため。そして、お金を稼ぎたかったから」。というのも、工場の収入はふたり合わせて月に1000元程度だったが、この観光村ではその2〜3倍は稼げるという。主な仕事は、観光客への食事や宿泊のサービス。人里離れた山中ゆえ料金はかなり割高だが、「それでも、最近は税金が高くなって」施設を維持するのが大変らしい。

夏(4〜10月)は観光村に住み込みで働くため、3歳の娘と親子水入らずで暮らせるのは冬の数カ月間のみ。天池から20kmほど離れた煉瓦作りのわが家で、妻はウイグル絨毯を織りながら、夫は晴れた日には家畜(羊12頭、牛6頭、馬2頭)を放牧させながら春を待つ。


☆☆   夫(ムヘヤティ)   ☆☆


1 今いちばん欲しいものは?
 お金や物で? 特にないよ。
 豊かな自然環境をこのままに、社会や家庭が安定し続けてほしいとは思うけれど。

2 最近いちばん嬉しかったことは?
 政府の改革開放政策のおかげで、いまのような観光客向けの仕事に就けたことがいちばん嬉しかったね。
 カザフ人にとっても、観光客(主に漢民族)にとっても、よいことだと思うよ。

3 子どもにはどんな仕事についてほしいですか?
 3歳の娘がいるんだ。(少数民族は2人まで子どもを産めるけれど)1人でいいと思っているよ。昔(のカザフ族)なら、子ども5人も当たり前だったけど、みなお金を持っていなかったから、子育てが大変だったんだ。
 ぼくも1990年に新彊師範大学の入試に受かったけれど、入学金が払えなくて、結局入学すらできなかった……。
 いまは、1人の子どもを大切に育てて大学に行かせ、中国にとってよい人材に成長してくれれば、と考えているんだ。
 そうだな。どの国でもいいから留学させてみたいね、あまり外国の事は知らないけれど……。

4 親と口げんかすることはありますか?
 めったにないよ。ぼくらカザフ族は、老人や父母のことをとても尊敬しているからね。
 親と口げんかなんて、1年に1度あるかないかだよ。
 でも、「自分のことは自分で決めろ」「どこに行っても、自分の力でしっかり生活しろ」って、いつも言われているよ。

6 もし10万元あったら、どう使いますか?(当時、1元=約15円)
 そんな大金があったら、銀行に預金して子どもが就職するまでの費用にするよ。子どものことが、まず第一!
 家を新しくしたいとか車を買いたいとは思わないな。そもそも、10万元を手に入れるなんて、とても大変なことなんだから。

7 5年後はどこで何をしていますか?
 許されるなら、ここでずっと働いていたいね。

8 行ってみたい外国は? 日本にはどんな印象がありますか?
 もちろん外国には行ってみたいよ。でも、条件がそろわないだろう? いちばんはお金の問題。だから、ここで暮らしていくしかないんだよ。
 でも、日本には行きたいね。一昨年知り合ったコンピュータ関連の会社に勤める日本人とは今も文通しているし、2週間ほど前にも57歳の身体障害者の日本人と仲良くなって、手紙のやりとりをしようと思っているんだ。

 

ライン

 

☆☆  妻(グージナシ)  ☆☆

1 今いちばん欲しいものは?
 夫と同じよ。
 洋服や宝石? あまり興味ないわ。

2 最近いちばん嬉しかったことは?
 夫と同じよ。

3 子どもにはどんな仕事についてほしいですか?
 これも、夫と同じよ。
 私も兄弟が多い家庭で育って、大切に育てられたという思い出があまりないの。だから、(少数民族は2人まで子どもを産めるけれど)子どもは1人の方がいいと考えているの。
 たぶん、成長したら、子どもはここを出ていくでしょうけど……。

4 親とと口げんかすることはありますか?
 ないわ。

6 もし10万元あったら、どう使いますか?(当時、1元=約15円)
 夫と同じ。子どものために使いたいわ。

7 5年後はどこで何をしていますか?
 私も、ここでずっと働ければいいと思っているわ。

8 行ってみたい外国は? 日本にはどんな印象がありますか?
 これも夫と同じよ。
 本当に同じ考えなの。私たちは、夫婦なんだから。





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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2003年04月22日 更新

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