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0010 珈琲不演唱 (2003/12/23)
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| さて、今年最後の『アコギの子守唄♪』です。
前回、フォークの中でも異端児的存在を披露してしまったが、今回はフォークの王道を紹介しよう。王道中の王道だ。彼を知らずしてフォークは語るな!フォ−ク界の岩窟王、存在自体がフォークとはこの人、高田渡である。 高田渡…と聞いたら「酔っぱらい」という印象の方が多いかも知れない。実際酔っぱらってる時のほうが多そうな人だし、ステージでも飲みながら歌われるんじゃなかったかな?コンサートに行ったコトが無いので詳しく無いのだが、確かそんな記事を読んだ記憶がある。ステージで飲むくらいなら、そういう歌手はまだ結構居るのだが、そのまま気持ち良くなって寝ちゃった歌手は高田渡くらいだろう。マイペースをそのまま人間にしたような人である。 名前は有名だったのに、この人のアルバムを手に入れたのは相当後になってからだった。友達に借りたライブ盤で『生活の柄』だけ知ってて、あとは『自衛隊に入ろう』の歌詞だけ知っているくらいだったのだ。なので彼のレコードを買おうとした訳は、たまたまレコード屋で彼のアルバムを偶然見つけたからに過ぎなかった。しかし、それは後に必然であったようにも思えて来た。 それまでの私の聞いていたのは、吉田拓郎だったり井上陽水だったり…でみんなどこかしら力の入りまくった唄で売ってたんだが、それに少々疲れて来てて、タイミング的に高田渡の唄はそんな私にピッタリの唄だったのである。も、全然力入ってないのネ(笑)。内容もかなり生活に密着したモノで貧乏臭いのも特徴だった。よって、革命がどうのとか、戦争反対!とか、人生がどうの愛がどうのとかでも無く、肩に力を入れないでも聴くコトが出来た訳です。いや、内容は反戦歌もあるし、プロテストソングでもあるんですが、そんな感じで歌わない…ってトコロがミソだったのですな。 ♪ギャラよ〜り〜、た〜か〜い〜交通費ぃ〜〜〜 こんな唄ですからネ。聴いててフニャフニャになってしまいます。 そんなトボケた雰囲気で飄々と、しかし深いトコロを歌いあげる彼の姿勢にカッコイイな〜と憧れたモノです。吉田拓郎や井上陽水には無いカッコ良さを感じずにはいられませんでした。加川良やシバや岩井宏やなぎらけんいち等が彼を慕ったって話を聞いて納得したモノです。同じスタイルですからネ。彼のような人こそフォ−クシンガ−と呼ぶに相応しいんだと…、そんな風に思いました。 最初に買ったアルバム(実はこれしか持って無いんだが)は『ごあいさつ』というデビューアルバム(実はマイナーなのを入れると3枚目だそうだが、一応ジャケットにもファーストと書いてあったので…)である。最初に気に入ったのは『珈琲不演唱(コーヒーブルース)』だった。当時私は三条河原町でアルバイトをしていて、そしてこの『珈琲不演唱』は三条堺町のイノダと言うコーヒーショップのコトを歌っていた。これを聞いてジッとしている訳が無い。早速イノダへコーヒーを飲みに行ったのだった。イノダのコーヒーは普通の喫茶店のコーヒーに比べて濃くて驚いたが、この店で高田渡が同じようにコーヒーを飲んでいたんだな〜と思い浮かべるだけで楽しくなった。 このアルバムがフォーク史上に残る名作と言われるだけあって他の収録曲も名作揃いなのだが、個人的には『夕焼け』という唄が私は好きだった。一人の少女が電車に乗っていると、一人の年寄りが少女の前に立つ。少女は立って席を譲るが年寄りは礼も言わずに次の駅で降りる。しばらくしてまた違う年寄りが少女の前に…。少女はまたも立って席を譲るが年寄りは礼を言って次の駅で降りる。そしてまた暫くすると別の年寄りが…。でも、もう少女は下を向いたまま立ち上がるコトは無い。電車の窓からはまばゆい程の夕日が射して…、でも少女はその美しい夕焼けも見ないでうつむいたままで…。なんかネ、こう胸にジ〜ンとしみ込んで、うんうん…って頷いてしまうんですな。この唄は大好きでした。 私が今ネットで『かたりべ』みたいなコトをやってる原点って言うか、切っ掛けって言うか、ルーツって言うか、ミナモトって言うか…って、もう良い?(笑)とにかく、そういう視点を身につけたいって思ったのは、この『ごあいさつ』を聞いたからで、日常にいろんなドラマは転がっているし、それらはみんな生きているし、魂があるんですよネ。そういうのを私は『唄』だって思うし、それを気付かせてくれたのは高田渡だったのです。高田渡の『ごあいさつ』お薦めです。 |