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今うちのベランダには『こいのぼり』が、はためいています。むかし近所に上がっていたような大きなのではなく、マンション・サイズの『こいのぼり』です。
私が幼稚園の頃、帰り道で見た『こいのぼり』が欲しくて、母にねだったコトがありました。当時うちは、貯金もなく、私は病弱で、父が長男だったので祖母に仕送りもあり、ローン返済もあって(父が大学時代、奨学金を国に出して貰っていたらしい)あまり裕福ではなかったし、当時はまだ高価な『こいのぼり』を買うコトが出来なかったのです。母は、「来年は、おとうちゃま(マジで呼ばされていた)に頼んで、買って貰おうネ・・・。」と、幼い私に言いました。
翌年の5月5日。朝起きると、母が私を呼びました。私は何だろうと、母の下へ行って行くと、うしろ手に隠していたモノを私の目の前に差し出しました。
「シュンちゃん。子供の日、おめでとう!」
それは、1メートルくらいの『こいのぼり』でした。布で出来ていました。ペンキで色が塗ってありました。目は金銀黒の折り紙を切って張ってありました。一目で父が作ったモノだと、私は判りました。
で、ここで、ドラマなら、子役が「ありがとう!」と元気に言って、母が父に振り返り、父は黙って頷く設定になるのでしょうが・・・。
私は「こんなの、いらない!」と、床に落としたのでした。母は、「はい、はい、そんなコト言わないの!」となだめますが、私には子供と言えど、言ってしまった口があります。「やだ〜、やだ〜、こんなの違う〜!フキナガシがない〜!ヒゴイがいない〜!ここペンキがはみ出てる〜!何より小さすぎる〜〜〜!!」
その後、オヤジに殴られて、ふてくされてマゴイだけの『こいのぼり』を持って、母に抱かれて写っている写真が、九州の実家に今でもあります。でも今になって思い出すと、すごくよく出来ていたように思うんですヨ、あの親父の作った『こいのぼり』・・・(小さかったけど・・・)。
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